7月の短歌––はからずも、夏
歌をつくってたときの自分と現在の自分が完全に切り離されていてなにも言えなそうなのだけれどがんばって思い出して書いてみよう。とて。
題詠 5首
1. 透
透明の履歴書もって透明のぼくに似合う仕事ありますか
★やっぱり幽霊のことを考えて、はじめは趣味特技恨み死因とか考えてたのだけど、文字数多すぎるので方向を変えたのであった(第一暗すぎる)。「透明のぼく」って言いはじめるとなんか世相を斬る(っぽさ)が出ますね。
2. ホイップ
かき氷「入道雲がはつ恋」とホイップクリームの横恋慕
★「かき氷が入道雲に恋をして、ホイップクリームが嫉妬」みたいな大意らしいんだけど、ただただ単語を並べただけになってしまっている。これにかぎったことではないんだけど。夏の雲と泡立てたホイップクリームはよく似ている。かき氷も形状は似ている。この場合のかき氷はおそらくイチゴ味だよねー。
3. 果
どこまでもひろがる夏にくさび打つ果てぬすいか割り、夏休み
★夏休みって八月いっぱい、はたまた大学生だと九月いっぱいまでお休みで、はじめはその果てのなさにくらくらするよねー。夏の大風呂敷広げちゃったぜみたいな感じ。その隅っこですいか割りをするのでしょ。森見登美彦のようなごちゃごちゃ感が頭の隅にはあったような。
4. ペンギン
温暖化防止対策委員会 首折れペンギンのごと「止まれ」
★家の近くの「止まれ」は道路のカーブにそって見事に折れていてペンギンみたいなんだよなーというの。それだけなの。
5. 短夜
短夜に植物たちは飽きもせでぐんぐんのびる生きるのが好き
★植物は生きるのが大好きだから、 ってだれかの(知久くんだと思うんだけどうまく検索できない)歌であって、なんかそのままの歌。朝になって水をやるかとベランダを見ると植物の緑が前日とは明らかに違うきらきら具合でこちらを見ているの、はっとする。ただただ大きくなろうとするのは生きるのが好きなんだなって感じがする。
テーマ詠
今月のテーマ「あつい」
るるりっと汗の流れて川となりうちの扇風機雨音のする
★エアコンはつけたり消したりするものの扇風機はほぼずっとついていて劣悪な労働環境におかれているとか思うのだけど、今日もけなげに首をふり続けている(えらい)。そのせいか、もともと高価いものではないのもあって、羽根のまわる連続音、ふと耳を欹てたときなんぞに雨が降っていると勘違いさせられる。暑いときは雨が降ればいいのにと思ってたりするから窓をあけてみてがっかりする。「るるりっ」て昔読んだ小説で滴った血が丸くふくらむ様子につかわれていた(それは「るりっ」だった気がするけど)のを書いておきます。ね。
なんて書いてみると、だいたいいろんなところからのつなぎ合わせでできているんだなぁと思うのでした。いつもぎりぎりだからかな。自分と書いたものとの適切な距離感ってあんまりよくわかっていない節があり、だれかの言葉を借りた方が気楽だったりするのだよねぇ。なんにしてもインプットもアウトプットも足りないと感じるのだった。作歌とうじの(おそらく)切実な気持ち、なくなってしまっていてかなしい。