ビグルモワ

すべて物語にしてしまいたい

12月の短歌––大晦日短歌祭反省会

soulkitchen.hatenablog.com

 

イェーイ! 短歌! イェーイ!

区切りでいえばもう去年だから今さらって感じなのだけどふりかえります。帰省の移動中、隣席に人もおらずわりに快適だったので粛粛とつくってました。それまでにイメージがあったのもありなかったのもあり。実家にて推敲して出し。その晩は大晦日なのに(だったからなのか)、夜になっても他の方がもりもりアップしてて(わたしもそのひとりだったのだけど)お祭みたいで楽しかったです。運営の宇野さんおつかれさまでした。ありがとうございます。

 

 

1. おでん

 海底に沈んだ文明おでん都市たこの人魚がウィンクをする

 

★お鍋で煮られているおでんの具たちは独特のかたちをしていて、海の底に沈んだ古代の都市にみえてきて、、って別にそのままだわ。そんな中で一番セクシーなのはなにかったらタコでは。タコタコ(異論は認めます)。そういえばおでんの具ってお雑煮なみに地域で違いますね。

 

 

2. 自由

 都会から離れゆくごと自由なりのっぱらいっぽん高速がゆく

 

★前述のとおり移動中で、窓の外をみながら、都会を後にしてだんだんに緑と青が増えていって、するとわたしはちょっとずつ元気になってきて自由だ、と思ってしまった。きわめて個人的な。

 


3. 忘

 おぼえてる、忘れてしまった、おぼえてる、ベンチのふたり旧友オールドフレンド

 

サイモンとガーファンクルに「オールドフレンド~ブックエンドのテーマ」という曲があって、それをききながら。ベンチにかける老人ふたりをブックエンドにみたててっていうの15年前に説明されたときには全然ぴんとこなかったけど今は少しわかる気がする。外側から(というか今のわたしから)見れば老人ふたりなんだけど、かれらにしてみれば古い友人で同輩で、つもる話もあり、忘れてしまった思い出話もあり、そんな答え合わせをしているような情景を。

 

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4. 指切り

 指切りをしたくない人ランキング一位は早口 なんかごめんね

 

★もっと情報量あったけど31文字に泣いた感じの。推敲不足だね。指切りの歌が早口な人はなんか重そうだからごめんねあなた。っていう感じだった。推敲不足だね。

 


5. 神

 イーストと砂糖のダンス耳すます神の見守る時間消えてく

 

★年末休暇の一日目に戸棚にあった最後のイーストでパンを焼いた。イーストが生地をふくらませるのだけど、糖分を餌に活動する(ちなみに塩は嫌い)。ので、ぬるま湯に砂糖とイーストを溶かしてかき混ぜて、なにか音はするだろうかと聴いていたのであった。ちなみに味噌汁(椀)もたまに鳴きます。台所の音はおもしろい。

 

 

テーマ詠

 テーマ「冬休み」

 

 子どもらはこおりみずうみでスケート船乗りおてあげワカサギを釣り

 

アーサー・ランサムに『長い冬休み』という作品があって、そもそもが休暇中に湖に行って、ボートで湖の中の島まで漕いでいてテントをはってキャンプする子どもたちのシリーズなんだけど(たしか全十二巻)、この話は冬の休暇で湖が凍っちゃって船に乗れないーんだけどでもそれなりに遊ぶのです。そういったイメージだった。「ランサム・サーガ」もう一度読みたい。長いけど(もともとめっちゃ厚い本だったけど、最近岩波がソフトカバーで出してくれてて本当にうれしい)。

 

長い冬休み(上) (岩波少年文庫 ランサム・サーガ)

長い冬休み(上) (岩波少年文庫 ランサム・サーガ)

 

  

 

 アローアロー実家に帰ってきていますこちらは冷えますお節を煮てます

 

★冬休みっていろいろあるなーと思いながら、この帰省も冬休みじゃんと思いながらまとめた31文字。母親の指示に従ってお節の煮物を延々みはっていました。というリアリズム。

 

 

今回はどうにか出せたけど、自分的にどうなんだろうこれというのも多く、なんというかぴんときていない。詠みながら、またほかのひとのを読みながら、短歌ってわりと直線的なんだけど、わたしがつくるときにテーマ(題)をふくんだ情景を想像して、そこから31文字にしていくことが多くて、それは空間的なんじゃないかなと思った。厚みがあるというかぼわっとしてしまうというか。

いちおう意識して短歌の上と下をそれぞれつかんで捻じ曲げたり手術みたいに違う情景をくっつけたりとかもするんだけど(しているのです実は)、あんまりやると機械的というか、それもまた短歌じゃなくて言葉遊びではと思ってしまう。感性が足りないなんていってしまえば簡単なんだけど、感性というか才能というかコツというか。意識的にやってよくなる部分もある程度はあるんだろうけど、それ以前のチューニングが合っていない気がする。

テーマ詠の反省として、掘り下げが甘かったなとか思った(題詠もだけど)。冬休みは絞り切れなかったし、わたし自身の気の多さというか、全体をとりたがる傾向が邪魔をしている感じもある。つくっている短歌を掘っていくか、はたまたほかに目を向けてアイデアを得るか(得られるのか)、短歌のことを考える時間が絶対的に少ないのかもしれないのかなぁ。等々。また2017年もどうにかこうにかやっていこうと思います(いつものブログでも同じことを書いた記憶)。