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ビグルモワ

すべて物語にしてしまいたい

『チャーメインと魔法の家』を読んだ

ジブリの映画『ハウルの動く城』には原作があり、続編と続続編があるということ、みんな知っているだろうか。原作は『魔法使いハウルと火の悪魔』であり、動く城にあの造形をあたえたのは宮崎駿なのだよ。映画は映画で賛否両論あろうが、わたしは好きだ。原作が好きすぎての贔屓目の可能性もあるけど好きだ。説明足りなくない? と思う部分もあるが好きだ。

それで今回の『チャーメイン』はナンバリングでいくと3番目に書かれたお話なのだけど、1番目と2番目とはおよそ20年あけて書かれていて(2008)、単行本の初版が2013年5月、徳間文庫になったのが2016年4月なので、当初のファンも見逃しているかもしれない(映画は2004年の11月公開)。続続編がある! とわたしが気づいたのも最近。

 

チャーメインという本の虫の女の子(いちおう学生)が色々色々する話で、ハウルとソフィー、カルシファーも出てきます。アブダラは出てこないけどジャマールと犬は出てきます。それでこのお嬢さんがおとなしい良い子かと思えばまったくそんなことはなく、面倒くさがりで家事のやり方もまったく知らないしかっとなるとひどいことを言うしで半分くらいまでただただつらい。本を読みながらパイを食べて、かけらが本にはさまるのをそのパイではらうのとかやーめーてーくーれーーーーーとなりました。ぞわぞわした。相方で若い男の子もいて、この子がおもにチャーメインの被害者なのだけど。こちらもこちらでとんちんかんなことばっかりしています。

とくにだれにも感情移入できないので、「真面目な登場人物が損をしている!!」みたいな悲しさはなく、それはよいのかも。考えてみたらほかのキャラクターたちも自分の都合のことしか考えてなかったり大声で主張したりするだけで、そもそも快適な本ではないのかもしれません。よく考えたら『ハウル』も『アブダラ』もそうだった気もするけど。

これだけ言っておいて、オススメ☆という結論にしたいのが恐ろしいのだけど、前述のチャーメインへの没入できなさも大体半分くらいまでで、後半の彼女にはたいへんに好感がもてます。自分を見直し、できることを精一杯やろうとこころみます。だからといって、事態が好転するわけではなく、筆者は無慈悲に状況をえがいていくだけなのですが。最終的にはすべてがまわりまわって大団円になるマジック。魔法の存在が強力すぎるので(使っただけで解決してしまう)、それまでの謎をややこしくしてあるように思える。

変身、不思議な家(城)、犬あたりが三作品ともに出てくるモティーフになっている。今回もジャマールの犬がアレするのだけど、大丈夫なのかな。前回は天使がついてみはっていたはずだけど、というのが心配になった。

 

さて、気になった部分をすこしだけ引用。

「ふーん。過去って、最高のゴミ捨て場よね」(チャーメイン) p.180

 

「ほほう。火の悪魔というのは、読書好きなのかね」と王様。

「普通はそうでもない」とカルシファー。「だけどソフィーはよく、おいらに本を読んでくれるんだ。おいら、謎解きのある話が好きだな。だれが人殺しかあてるとか、そういうやつ。ここにそういう本はあるかい?」 p.197

 

やりとりはやっぱりおもしろいし、魔法のある世界、不思議な種族、本が大好きな王様と王女様、このファンタジー世界が好きならば読まない手はありません。それに、美青年のハウルも出てきます。

 

チャーメインと魔法の家: ハウルの動く城 3 (徳間文庫)

チャーメインと魔法の家: ハウルの動く城 3 (徳間文庫)

 

 

作者のダイアナ・ウィン・ジョーンズは2011年に亡くなっており、『動く城』シリーズの新作の構想もあったらしいのだけど、それは永遠に読めなくなりました。残念。ともかくこの素晴らしいファンタジーを楽しみたい、楽しんでほしいと思う次第です。