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ビグルモワ

すべて物語にしてしまいたい

冷たいギフト

凪みたいな気持ちでもってぼんやりしている。運のわるいときは急に過去がやってきて扉をノックする。目を合わせるがそれは一瞬でそむけてしまう。会いたくはなかったから。そいつのことはよく知ってるし久しぶりだしなんならずっと一緒にいたようなものだ。それは自分だ。出てくるチャンスをねらって、おれをずっと見つめてるんだ。

あけてびっくり玉手箱。黒く重いかたまりがとめどなく流れ出て、すべてを真っ黒に染めてしまう。あのときの粗野な手でもってふたたび奪っていく。おれ自身を。死んだふりをしてやり過ごす。その実流れに身をまかせて運ばれていくだけだ。暗い意思の思うところへ。そこに行ってしまうといつも後悔する。深い深い海底に置き去りにされてそれこそ本当にひとりぼっちだと気づかされてしまう。から。明るい世界が恋しい。

対話せよとおれたちの子どもは言う。しかしそれは不可能なんだbaby、おしゃぶりの似合う赤子たちよ。おれの信じている神は、なにも言わなくてもわかってくれる。沈黙は金。行動で示せ、だよjesus。言葉にしてすべて並べておいたなら、それはただのカタログってやつで、そこにやっぱりおれはいないのだ。要素を検められてそこに理解があるのだとしたら、おれはロボットになっている。なにも言わないことでそこかしこに偏在したい。

いやしかしbaby、今度その時がきたらおれは薄目をあけて、そいつの顔を見てやろうと思ったよ。悪いやつの顔は案外かわいかったりしてな。そのときにbaby、おまえはおれの本当のjesusになるだろう。