ビグルモワ

すべて物語にしてしまいたい

短歌本三冊

 57577に興味が出てからそろそろ一年が経とうとし、関連する書籍も手もとに増えてきた。目をとおしたものを書いておく。

 

はじめてのやさしい短歌のつくりかた

はじめてのやさしい短歌のつくりかた

 

 

昨日記事にしたのはこちらに(載ってる短歌の一覧です)。 

biglemoi.hatenablog.com

 

 ワークっぽいのが好きな人は好きかと思われる。かつ二百以上の短歌が引用掲載されているので、センテンスの間に鑑賞もできる。何度もおいしい。

 

青林檎与へしことを唯一の積極として別れ来にけり

  河野裕子『森のやうに獣のやうに』

 

この歌にまた会って驚く。谷川史子の漫画でモチーフとされていた。 

積極―愛のうた (クイーンズコミックス)

積極―愛のうた (クイーンズコミックス)

 

 

 

現代の歌人140

現代の歌人140

 

それでこちらをはらはらと繰っていって、いやー載っている。ひとりの歌人の歌が見開きにびっしりとなっている。のでクラクラ。脚注部分にも説明の体で載っている。そういう本だといわれればそれまでなのだけど、編者の執念みたいのがすごい。一気に読み通せないよなと思いつつ、最前にあげた本から気にいった歌人を選んで当たっていくのは便利そうである。ので、索引(というか掲載歌人の一覧)をつくりたかったのであった。少しずつ読んでいく。とはいえ穂村弘の歌が『手紙魔まみ』からばっかりでそれでいいのかという気持ちもある。

 

 

それでこれだ。エレキングのやつ。小島信夫が目当てで買ったのが、よく見ると短歌の特集が少しだけどあるのであった。数は少ないものの一首に対してかなりの分量の解釈(なのだろうか)があって読みごたえがある。三十一文字に何倍もの返答ができることに感動する。あと、書いた人の偏愛ぶりみたいのが見られてよい。歌壇どっぷりの人でない人の評もよいと思ったのであった。

 

索引作成の一環で歌人たちの名前にとにかくふれて、まずそれだけで基礎体力が少しだけどついたみたいだ。何にしても勤勉さが重要というのはまあそうなのであろうけれど嘆息したくなる向きもある。しかしまあマスノ短歌だけを知っていた自分には戻れない(のだろうか)。等。

横山未来子『はじめてのやさしい短歌のつくりかた』掲載短歌の索引

よさそうな短歌の入門書があったので読んでいました。短歌の本なのにタイトルが575。

はじめてのやさしい短歌のつくりかた

はじめてのやさしい短歌のつくりかた

デザインがかわいいのと章立て(でいいのだろうか)が見開きでワークっぽいのがよかったです。受験勉強好きな人は親近感をおぼえる感じです。新旧短歌が随所に掲載されているので眺めているだけでもよさげな歌がみつかるかもしれません。

なんやかんや個人的に好感のもてるつくりの本なのですが、掲載歌(人)の索引があるとよかった……っ、、というわけで、自分で調べました。もしかしたら後人がいるかもしれないのでブログ記事としてアップしておきます(怒られたらお蔵入りするので怒る権利のある人で怒った人は怒ってください)。

引用された歌人の名前、フリガナ、掲載の頁番号、頁数カウントの表(表記等は前掲書による)

なまえ フリガナ 掲載頁 カウント
會津 八一 アイヅ ヤイチ 42 1
雨宮 雅子 アメミヤ マサコ 38 112 2
安立 スハル アンリュウ スハル 117 1
池田 はるみ イケダ ハルミ 115 1
石川 一成 イシカワ カズシゲ 105 1
石川 啄木 イシカワ タクボク 114 1
石川 不二子 イシカワ フジコ 82 104 2
伊藤 一彦 イトウ カズヒコ 13 66 115 3
伊藤 左千夫 イトウ サチオ 47 1
稲葉 京子 イナバ キョウコ 14 39 42 74 105 5
上田 三四二 ウエダ ミヨジ 59 118 2
内山 晶太 ウチヤマ ショウタ 59 124 2
梅内 美華子 ウメナイ ミカコ 43 1
江戸 雪 エド ユキ 90 1
大口 玲子 オオグチ リョウコ 69 108 2
大西 民子 オオニシ タミコ 11 26 47 63 91 91 6
大松 達知 オオマツ タツハル 79 99 2
大森 静佳 オオモリ シズカ 32 71 2
岡井 隆 オカイ タカシ 45 85 123 3
荻原 裕幸 オギハラ ヒロユキ 124 1
奥田 亡羊 オクダ ボウヨウ 45 79 2
小野 茂樹 オノ シゲキ 34 1
春日井 健 カスガイ ケン 37 49 2
片山 広子 カタヤマ ヒロコ 91 1
加藤 治郎 カトウ ジロウ 124 1
河野 裕子 カワノ ユウコ 2 40 65 67 70 83 85 86 119 9
北原 白秋 キタハラ ハクシュウ 8 36 73 89 4
紀野 恵 キノ メグミ 44 77 2
木下 利玄 キノシタ リゲン 9 62 90 3
紀友則 キノトモノリ 96 1
葛原 妙子 クズハラ タエコ 13 30 70 78 85 5
栗木 京子 クリキ キョウコ 7 39 67 72 93 5
小池 光 コイケ ヒカル 49 1
河野 愛子 コウノ アイコ 9 1
小島 なお コジマ ナオ 111 1
小島 ゆかり コジマ ユカリ 5 26 46 87 109 115 117 121 8
小高 賢 コダカ ケン 106 1
五島 美代子 ゴトウ ミヨコ 106 119 2
小中 英之 コナカ ヒデユキ 82 84 2
駒田 晶子 コマダ アキコ 94 1
近藤 芳美 コンドウ ヨシミ 89 1
今野 寿美 コンノ スミ 35 1
斉藤 斎藤 サイトウ サイトウ 111 1
斎藤 史 サイトウ フミ 2 60 91 121 123 5
斎藤 茂吉 サイトウ モキチ 28 48 72 73 90 97 117 121 8
相良 宏 サガラ ヒロシ 14 65 68 3
佐佐木 信綱 ササキ ノブツナ 3 4 26 48 78 87 97 115 122 9
佐藤 佐太郎 サトウ サタロウ 58 63 83 89 96 105 6
佐藤 通雅 サトウ ミチマサ 81 1
澤村 斉美 サワムラ マサミ 83 1
島田 修三 シマダ シュウゾウ 117 1
釈 迢空 シャク チョウクウ 12 1
晋樹 隆彦 シンジュ タカヒコ 117 1
高野 公彦 タカノ キミヒコ 36 64 99 107 4
高安 国世 タカヤス クニヨ 62 1
竹山 広 タケヤマ ヒロシ 15 29 109 120 4
俵 万智 タワラ マチ 25 75 87 124 4
築地 正子 ツイジ マサコ 89 1
塚本 邦雄 ツカモト クニオ 12 74 76 123 4
土屋 文明 ツチヤ ブンメイ 58 77 105 113 119 5
坪野 哲久 ツボノ テッキュウ 15 74 2
寺山 修司 テラヤマ シュウジ 110 123 2
堂園 昌彦 ドウゾノ マサヒコ 124 1
杜澤 光一郎 トザワ コウイチロウ 86 1
永井 陽子 ナガイ ヨウコ 49 1
中島 哀浪 ナカジマ アイロウ 59 1
中城 ふみ子 ナカジョウ フミコ 91 1
永田 和宏 ナガタ カズヒロ 26 93 2
永田 紅 ナガタ コウ 3 27 43 111 4
永田 淳 ナガタ ジュン 82 107 2
長塚 節 ナガツカ タカシ 98 1
中村 憲吉 ナカムラ ケンキチ 10 1
野原 亜莉子 ノバラ アリス 35 1
花山 周子 ハナヤマ シュウコ 117 1
花山 多佳子 ハナヤマ タカコ 29 59 63 116 4
馬場 あき子 ババ アキコ 33 77 107 3
浜田 到 ハマダ イタル 45 1
東 直子 ヒガシ ナオコ 124 1
福田 栄一 フクダ エイイチ 65 1
藤井 常世 フジイ トコヨ 99 1
藤島 秀憲 フジシマ ヒデノリ 111 1
古谷 智子 フルヤ トモコ 113 1
穂村 弘 ホムラ ヒロシ 43 124 2
本田 一弘 ホンダ カズヒロ 39 1
前川 佐美雄 マエカワ サミオ 10 88 123 3
前田 夕暮 マエダ ユウグレ 6 26 78 86 119 5
正岡 子規 マサオカ シキ 34 56 80 122 4
真中 朋久 マナカ トモヒサ 109 1
三浦 綾子 ミウラ アヤコ 119 1
三国 玲子 ミクニ レイコ 4 1
水原 紫苑 ミズハラ シオン 42 1
壬生忠岑 ミブノタダミネ 98 1
宮 柊二 ミヤ シュウジ 8 31 47 58 4
宮 英子 ミヤ ヒデコ 113 1
宮原 望子 ミヤハラ モチコ 87 1
森岡 貞香 モリオカ サダカ 31 70 121 3
安永 蕗子 ヤスナガ フキコ 7 1
山中 智恵子 ヤマナカ チエコ 6 1
横山 未来子 ヨコヤマ ミキコ 50 58 71 92 105 5
与謝野 晶子 ヨサノ アキコ 27 62 81 3
与謝野 鉄幹 ヨサノ テッカン 122 1
吉植 庄亮 ヨシウエ ショウリョウ 115 1
吉川 宏志 ヨシカワ ヒロシ 11 27 38 56 63 71 79 81 111 9
米川 千嘉子 ヨネカワ チカコ 48 75 107 3
若山 牧水 ワカヤマ ボクスイ 5 24 122 3
渡辺 松男 ワタナベ マツオ 124 1

五十音順。敬称略。歌人の氏名フリガナ・掲載頁・表形式等、何度か確認し気をつけたつもりではありますが、万が一相違・記載ミス等ありましたら、お手数ですがおしらせください。
エクセルのデータをはてな記法にするのに以下のサイトを利用しました。便利。
http://tetsu23.my.land.to/table.htm

全246首、総人数106名(エクセルに数えさせました)。
おまけで引用の頁が多いのは9回で以下の三名でした(これもエクセルが数えた)。
河野 裕子、佐佐木 信綱、吉川 宏志(五十音順)
(考えすぎると歌壇のあれこれが気になっちゃうのでやめました)

自作解題――思い出がいっぱい

soulkitchen.hatenablog.com

 

忘れないうちにさらさら書いていこうとおもうことです。

 

1. ファー

 すべて世のゴッドファーザー触れたもの名前をつけて駆け出していく

 

★ファーが定まらず悩んだのであった。心配なのはゴッドファーザーはたぶんオジサンなので駆け出していくと、わき腹がいたくなっちゃうんじゃないかな、ってこと。でも禁酒禁煙ランニングとか健康的なゴッドファーザーは嫌だな。

 

2. 密(蜜→密に訂正しました!)

 密教の秘密で思い出すものは三島由紀夫のあのしたり顔

 

★ぱっと秘密、だなと思ってしまって、これはけっこうすぐにつかう単語。くどいかなとか思いつつ密教で重ねてみた。

奔馬―豊饒の海・第二巻 (新潮文庫)

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暁の寺―豊饒の海・第三巻 (新潮文庫)

暁の寺―豊饒の海・第三巻 (新潮文庫)

 

 このへん?

 

3. LED

 ぴかぴかにするのはサンタの約束と取り残されたLEDと

 

★良い子にしてたらサンタさんが来るわよ、というのと、たとえば人類が滅んだあともLEDは残るんだろうか、というような想像。電気を残して滅ぶ人類。

 

4. グレーゾーン

 はらまきは上勢なのか下勢か彼と彼女のグレーゾーンね

 

★わたしはズボンとかの仲間と思うので下勢派です。

 

5. くま

 熊のつく苗字がいいと言われたがいりくまさんにはならなかった未来

 

★その昔、詐欺師に姓名判断されたときに薦められた苗字が「入熊」でした。詐欺師も画数とか見るんだナァと今では思えるのですけれど。詐欺師よりも詐欺師と一緒にいた女の人の方が印象的で、その女性も見たことのない不思議な姓を名乗って、これも詐欺師が占った結果なんだろうなと見当がついた。けっこうひどいこと言われたとか思い出したけど、本筋じゃないから割愛します。連絡は断ったので詐欺師かはわかりませんけど、たぶん詐欺師だったんだろうと思っております。詐欺師はヤマモトとか普通のそんな苗字だった気がする。

 

6. 石

 何者になれない僕らのような石 拾って滝のそばに積んでく

 

★山に行ったときに、滝のそばにたくさんの石積みがあって、賽の河原の子どもたちの代わりに積むんだっけとか思って(うろ覚えだけど)、しかし十積んであるものはなかったので、①紙を十回折るのは難しいと同様、石を十積むのは難しい、②子どもたちは救われない、自力で積むしかない、とか考えて少し暗い気持ちになったのだった。

 

7. イエス

 犬「イエス」猫だって「イエス」鳥「イエス」 イエスイエスのイエスの生活

 

イエスマンが世界をまわす。

 

8. 鐘

 鐘の音の空から落ちてくる夜のおおきいみそかは別れのにおい

 

★夜に歩いているときに、最近年末の空気だなーとか思っていたのだけど、よくよく見極めたところ、別れのにおいがするんだとわかったのだった。冬の空気もあるかもなのだけど、正月一日にスーパーとか行くと感じる感じです。なんかそんなにおいがする。

 


たま 鐘の歌

鐘といえば鐘の歌。

 

9. 氷

 氷つき付け鼻みたいな富士山がすべりおちてく湖にぽちゃん

 

★凍りつき、なので氷りつき、とかのがよかったなぁ。富士山が湖にダイブするところ、見てしまったのが面白かったのだった。

 

10.【枕詞】降る雪の

 降る雪の消えたらはるよ春よ来いこたつの君がちんとんしゃんで

 

★「もう冬だね」と知人に言ったら、「雪が降ったら冬と認めてあげます」とか上から目線で言われたので、その人とその恋人を想像して、さらに季節をひとつずらしてみた。半分くらいの春なのに、「君」はまだまだこたつにこもって「雪が消えたら春だよー」とか言っている情景。雪が残る地方なんだろうなぁ。かわいい彼女じゃん!!! って自分で考えた彼女だった。(一期の)最後なので祝言立てというかめでたい感じがよかったのであった。ちんとんしゃんで春を待つ。

 

 

わたしの中では情景が固定されていて余白のあまりない歌が多かったかもと思う。受け手はそんなこと知らないのですけれど。締切は10日だったのを勘違いしていて9日の夜にががっとまとめたので、詠みきれてない!! ってのものありますが、それはそれで意味不明でよいかなとか思ったり。

短歌の目は途中からの参加だったので、とりあえず四十首あって、その一覧を先ほど見ていたら、はじめの月のはガチガチで詰めまくっている印象があったので、それに比べれば馴れたというかこなれただなぁとか思いました。決まらなくてウンウン悩むのは同じだけど。企画がないと詠まないので、なにかしら工夫していきたいとは思っています。過去問やる感じでやるかなぁ。とはいえ、他の人のを読むのも楽しいんですよね。

 

★一度に読む用にまとめました

soulkitchen.hatenablog.com